in-職(いんしょく)ハイパーの“飲食の戦士たち”に株式会社エイジアキッチン 代表取締役 吉﨑英司氏登場。
自立した青年が選んだのは、海外への進出だった。
普通、オーナーの子息であれば初めから、跡継ぎとして迎えられる場合が多い。しかも、まだ小さな会社である。家族経営があたりまえだ。しかし、吉﨑家では、母も、息子らも一線を設けていた。「自分の力で」という教育が行き届いていた結果ではないか。ともかく吉﨑も、兄も、葛藤しながら、店の運営、会社の運営に関与するポストを手に入れていく。
さて、先を急げば、吉﨑は、この数年後、この母の会社を退職する。親が経営する順調な会社を退職するという決断は、なかなかできることではない。「アメリカなど海外に憧れていて、そこで勝負したかったから」と吉﨑は振り返る。
しかし、この吉﨑の決断がちょっとした波乱を引き起こす。大ボスと呼んでいた責任者が、吉﨑が店を去ることをきっかけに、社員を引き連れ、店を離れてしまったのだ。当然、店の運営は成り立たなくなった。「それで1年間、海外に行くのを先に延ばし、兄といっしょに立て直しに邁進した」と吉﨑。信頼していた人間に裏切られたという気持ちも少なからずあっただろう。
吉﨑は人間を大事にする。なぜか。こんな逸話がある。吉﨑が3号店の店長になった時、他の店の業績が落ち込んだ。「どうして、他の店は業績が落ちたのでしょう?」というインタビュアーの質問に答え、「やはり人間だと思いますね。たとえば、店が終わってから飲みに行く。翌日は二日酔いの赤い目でやってくる。そういう人間が包丁をふるう。それを見ている周りの人間がよしがんばろうなんて気持ちにはなりませんよね」と。たしかに飲食業は、人がすべてである。・・・。
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