第三回
■霊長類のことを英語では「第一の動物」という
「商売上手の二大秘訣」の一つの「着眼法」は「百聞は一見にしかず」ということわざの原理を生かしたものです。「見るということ」には、偉大な働きがあるのです。そのことを「眼力」といったりします。
私たちは見ることによって、簡単に判断するものです。だからこそ「見合い」や面接ということが、重視されているのです。
英語のことわざで「見ることは信じることである」といっていますが、不可解なことでも見ると納得できるものです。
「見る」ということには、不思議な力がしかし、私たちはそのことを忘れてしまっているのです。
そのことを教えてくださったのは、京都大学霊長類研究所の河合雅雄教授(当時)でした。先生はいわれました。
「『人間は目の動物だ』と動物学者はいっています。そして、『犬は鼻の動物』といっています」
「犬の嗅覚の鋭さは人間の嗅覚の二百万倍から二千万倍にもなります。どうしてこんなにあいまいかというと、犬の嗅覚を測る物差しがないからです」
犬の嗅覚の鋭さについては経験している人が多いでしょうが、二百万倍、二千万倍というぐあいに聞くと改めて驚かれることでしょう。